2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

王子自ら

めっきり冬めいている昨今でございますが、読者の皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。 また語り部先生がお休みに入りますので、ばあやの筆による王子絵巻でしばし場をつないでいただければと思っております。それでは今日の絵巻です。

生命の泉

我が宮殿内にはそれを口にしたものに永遠の命を授けると言われる生命の泉*1がある。 かつて七つの海を震え上がらせたカリブやソマリアの海賊達がこの泉をめぐって死闘を繰り広げたという話も人口に膾炙しているところであろうと思うが、私の治世になってから…

そのように

近頃、私の崇高な鼻が断続的にその存在を主張する*1。 どうも、冬の妖精が私の治世を讃えるために辺りを乱舞し始めたあたりからずっとそのような様子である。 ちなみに、冬の妖精が私の長寿と繁栄を祈願するために辺りを乱舞し始めたあたりから、私がこの御…

小さきもの

私が御幸するときは、空を高く舞う鳥の王子であるところの鷲のような視野を私自身が備えているという美徳はさておいて、地を這う地上の星がごとき、つつましやかにけなげに生きているものたちを愛しむ視点を忘れないようにしているつもりである。 先般、また…

慈しみの冬

「その手に握る食べ物を目の前の恵まれない人の口にいれなさい。あなたの心が満たされるでしょう。」という一節を知らぬ者はいないと思う。 なんと含蓄のある言葉であろうか。 私の言葉である。 いよいよ冬の訪れを感じる昨今であるが、私の民は飢えてはおら…

果物

果物の中にも序列というものは存在するらしい。 今までも数回述べてきたと思うが、バナナは果物の中では王子と呼ばれるべき存在であり、それはすなわちその世界における第一位の存在であるという意味である。 私もこの世のあらゆる珍味を口にしてきたが*1、…

王笏

遅きに失したといっても過言ではないだろう。 まさに私のためにあつらえられた王笏*1を手にした。 どうして今までこれが我が宮殿になかったのか。 これはゆゆしき問題であるが、この新しき王笏の到着という晴れがましさに免じて今回は不問にいたすところであ…

棒の引力

棒というのは実に強力に魅惑的ではないか。 その引力たるや、私の鋼の如き理性をもってしてもあらがえるものではない。 いわんや心弱き下々の民となれば、いかほどに棒の魔力に屈しているのかと思うと心配でならない。 棒は振ってよし、舐ってよし*1、そして…

冬の妖精

まるで11月のような鈍色の空である*1。 急に寒くなってきた。 地上の全てを統べるのが我が王国の責務なのであるが、この急な晩秋の訪れに関してはまだ承認をしていないように思うのだが、いったいこれはどうしたことであろうか。 久々に我が宮殿に備え付けら…