『むしのたのしみ』リラ・プラップ作/石津ちひろ訳

久しぶりにこのブログを更新します!
子どもに聞かせたい物語を記してきた当ブログでございますが、最近語り部先生が外貨獲得のためのお仕事に没頭されており、なかなか新作がリリースされない情勢なので、王子もオートクチュールを脱ぎ捨てプレタポルテを楽しまれているご様子、印象深い絵本について覚書を残しておきたいと思っています。
ちなみに、ブログが鳴りを潜めていた間に、王国にはお姫様もご生誕いたしましたでございます。
もう愛らしくて愛らしくて目がつぶれそうでございます。

今日の絵本はこちら。
『むしのたのしみ』リラ・プラップ作/石津ちひろ
オリジナルは1999年、日本語版は2004年に出版。
むしのたのしみ

いろんな虫の好きなことがたくさん書いてある絵本です。
ガガンボはダンスが好きだとか、ガは服を食べるのが好きだとか。
秀逸なのは虫の名前と文章のリズム感。
名前はと言えば、ガガンボガルボにイモムシのシモン、ダニのダニーですわ!
ダニのダニーって!語り部先生、ここからパク…借用してないですよ!(『子どもに聞かせたい10の物語』ご参照のこと)
文章のリズム感は、こんな感じです。
これも私お気に入りのガのガブリエルのページから。

ガの ガブリエル
きれいな いしょうを ガブリと かんで
「この あじ いやだ!
おいしい いしょうが ほしいよう……」

ガのガブリエルがガブリとかむ?
天才か?

これはもう日本語版が天才すぎるわけですが、オリジナル版はどんな感じなのでしょう。
すごく気になります。
日本語版はきっと原型をとどめていないのではないかと…(失礼)
リラ・プラップさんはスロベニアの方らしいのですが、スロベニア語わからないからなあ…。

というよりも、この日本語の芸風、どこかで読んだ…
そうだ、我が家のお気に入り『おやおや、おやさい』に似ているのでは?
そう思って本棚を調べたら、なんとなんと!
『おやおや、おやさい』は石津さんの作品!
おやおや、おやさい (幼児絵本シリーズ)
石津ちひろさん、そもそも大御所で、リサとガスパールシリーズを翻訳されている方なのね…。
リサガスは絵本は読んだことがありませんでした。
石津さんの翻訳ということで、読んでみたいです。
それよりも、日本語作品の方に興味がふくらみますなあ。

全書目無料キャンペーン勃発!!!明日17時より

エム・パブリッシング刊行全書目無料キャンペーン祭りが開催されます!!

「檜原村通信」松田ジャクソン著

「こどもに聞かせたい10+1の物語」松田ジャクソン著

「オリ」ジョン・M著

の3書目が、明日から5日間限定で、無料で読めます!!
舐めまわすように、嗅ぎ回すように、ねめ回すように読めます!!!読んじゃえます!!!!ときには大胆に、まわされるのも一興ではありませんか!!!!!!!

さあ、Amazon.comへ電子の翼を羽ばたかせて!!!!!!

いや、Amazon.co.jpへアクセスして、秋の夜長の一人寝の寂寥感を吹き飛ばそうではありませんか!!!!!!!!!!!!!!!

レビューご紹介『檜原村通信』

王国ではもう木枯らしが吹くようになってまいりました。
親愛なる王国民の皆様、息災ですか。
王子様におかれましては、ご存知の通り、今日も珠のようにお輝きになられております。
さて、王子様の忠実な僕(しもべ)としての語り部先生の近況、いえ、先生のご著作にまつわる世の中のムーブメントについてお知らせいたします。

こちらのブログ様におかれまして、げに冬の訪れもたじろぐほどにアツいレビューが掲載されてございます。
どうぞどなた様もゆめゆめお見逃しなきよう、クリックアンドゴーなさってください。

アルカンタラの熱い夏「傑作! 山奥のマタギが都心の住宅事情を辛口レビューする奇妙な短編小説『檜原村通信』(著・松田ジャクソン)」

そして、この冬のお供には、ゆめゆめお忘れなきよう、語り部先生のご著作をポケットイン!

『檜原村通信』

『こどもに聞かせたい10+1の物語』

少年は空を見ていました

しばらくブログが更新されていないことに王子様はおむずかり。
そんな王子様に語り部が語って聞かせたのです…。


・・・・・  


 少年は空を見ていました。とびっきりの空を。いつも見ていました。いつまでも見ていました。
 少女は空を見ていました。あふれてしまいそうな空を。いつも見ていました。いつまでも見ていました。


 少年と少女は出会いました。
 少年は少女を見ました。どれほど見ても限りない,その少女を。いつまでも見ていました。
 少女は少年を見ました。見るほどに透明な,その少年を。いつまでも見ていました。
 二人は恋に落ちました。そして,いつも見つめあっていました。


 ある日,少年は空を見ました。なんだか,はじめて見るような空です。つまらない,そんな空です。少年は空を見るのをやめました。
 ある日,少女は空を見ました。まぶしい,少女はクシャミをしました。そのまま歩いてゆきました。

 
 二人は年をとりました。二人でいっしょにとりました。
 ある日,二人は空を見上げました。首が痛くなりました。二人は見つめあい,お互いに肩を叩きました。そして,歩いてゆきました。


 おばあさんは死にました。おじいさんは悲しみました。たんぽぽのぽつぽつと咲く小道をよたよたと歩くおじいさんに,行き逢う人は呼びかけます。
「元気かね,おじいさん」
 おじいさんは答えます。
「元気なのかな。わしゃ,わからんよ」
 人々は顔を見合わせ,しみじみと言うのでした。
「かわいそうに。あんなに寂しそうな人って,見たことないよ」
 

 おじいさんは生きました。長く長く生きました。小道には,ひまわりが咲き,すすきが揺れ,茶色になり,そしてまたたんぽぽが咲きます。よたよたと腰を曲げ,地面を見つめながらおじいさんは小道をゆきます。行き逢う人は呼びかけます。
「どうだね,おじいさん」
 おじいさんは答えます。
「うん,まだ生きてるよ」


 ある日,おじいさんは小道を歩いていました。よたよたと揺れるおじいさんの頭に,なにかが当たりました。おじいさんは見上げました。もみじが,風に吹かれて降っていました。
「こりゃ,これが当たったのか…」
 もみじを落とす,その木を見上げました。紅く黄色く色づいた葉を湛える枝々の間から,空が見えました。とびっきりの,あふれてしまいそうな空です。あの,空です。おじいさんは静かに,いつまでも見ていました。ほんとうにとびっきりの空だったのですから。ほんとうにあふれてしまいそうな空だったのですから。
 空は,いつだって空なのですから。


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『檜原村通信』出版のお知らせ

読者の皆様、こんにちは。
暑い日が続きますが、いかがおすごしでしょうか。

皆様もご存知の語り部先生、そして先生の最新作『檜原村通信』について、喜ばしいお知らせがございます。
この度、Amazon様の方からkindle版『檜原村通信』を販売していただけることとなりました!
物語の中で主人公が何度も確かめるように触れるタブレットのように、読者の皆様お一人お一人にとっても何よりも大切なガジェット類があるのではないかと拝察されます。
そういった端末にkindleアプリをお入れいただいてお買い求めいただければ簡単に読むことができます。
もちろんkindle専用端末をお持ちの方はそちらでご購入いただき、お楽しみいただければ幸いです。

それでは、幻の名著『檜原村通信』と共に、熱い夏をお過ごしください。

販売ページはこちらです↓
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凱旋

我が民よ、民達よ。息災であったか。
歌え、踊れ、そして寿げ。
私が帰ってきた、そなたたちの王子が戻ってきたのである。
それは激しき戦いであった。
昨年の暮れの激戦*1の記憶も生々しいままに、私はかの戦場*2に再び舞い戻ったのである。
もうここには二度と戻るまいと誓った容赦なき前線において私は手綱*3を繰り、新たなる聖痕*4を刻み、戦った。
そして勝ったのである。
しかし、この戦いで私が真に手に入れたものは何であったか。
富であろうか、はたまた名声であろうか。
私はそれらは十二分に、この地上の誰よりも多く備えている。
私が手に入れたもの、それは無二の戦友である。
その者達は、カメ・サン*5、そしてリラックスした面持ちのクマ*6である。
無二でありながら二つ有るのである。
私は宮殿に戻り束の間の安息の日々を過ごす際も、かの激烈な戦闘を自分の心に刻みつけるために、つねに戦友たちを傍らに控えさせているのである*7

*1:入院

*2:病院

*3:点滴のチューブ

*4:点滴の針の痕

*5:カメのぬいぐるみ

*6:リラックマのぬいぐるみ

*7:大殿籠られる際、ご自分の命と呼んでも過言ではないタオルケットをご友人達におかけになられているご様子は実に慈愛に満ち溢れており、見る者の心を揺さぶらずにはおられません。byばあや

4月新連載のお知らせ

早いものでもう3月も終わろうとしています。
最近、けしからんばあやはブログをアップできていない回がとても多いわけですが、そんな彼女も埋め草としての役割を一時お休みする時がきたようです。
それは即ち、あの語り部先生が再びお戻りになられるということを意味するのです!

というわけで、4月から語り部先生の新連載始まります。
毎週金曜日を予定しておりますので、チェックをお忘れなく!
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ではこれを好機として他のサービスを探しましょう。
カウンターを水増しするために金曜日になったら5分おきにブログにアクセスして手動で更新を確認してくださるのでもかまいません。
それではみんなで元気に新年度を迎えましょうね。