2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「読者の皆様の声援が一番の、そして、唯一の糧、ですかね…(笑)」

イケメン売れっ子作家の語り部先生はそう言い、そのイケなメンに寂しげな微笑みを浮かべた。 そう、人一倍繊細な彼は欲してるのである、先生への励ましのお便りを! 宛先は「編集部内語り部先生ファンレター係」、「当ブログコメント欄」もしくは「当ブログ…

10 入道雲

まだまだぬいぐるみと歯磨きごっこをしたいのに、ばあやに歯ブラシをもぎとられて王子様はおむずかり。 そんな王子様に語り部が語って聞かせたのです…・・・・・ もくもくと入道雲がわきたつ夏空の中,むく鳥のキスケが軽やかに飛んでいると,不意に呼びかけ…

慈しみの心

我が宮殿内には、決して恵まれた出自ではないがこれを読んでいる下々の皆さんと等しく希望ある未来をもった子供たちが養われている*1。 私ももちろん帝王学の一環としてノブレス・オブリージュといった行動規範を理解しているが、私の彼らへの愛着はそれより…

熱狂

まだまだ暑い日が続いている。 私が宮殿の中で一番早くに目覚め*1、怠惰なるばあやをしてカーテンを開けさせしめた時に見えるその爽やかな青空には毎朝のことながら感嘆の声を発することを禁じ得ない。 よく晴れた日の焼きつけるような空気を切り裂いて、私…

兼用

私のような立場の者は食事に銀のさじを使うことが通例だと思うが、私は主に手を用いて食べる。 香しき絹の糸をまとう豆*1などももちろん手で食べ、興が乗ってくるとその手を自らの顔や頭にやり、芳香を身にまとうことも好んでいる。 ばあやにもその祝福を分…

兵の動かし方

我が国では王族が軍の最高指揮権を握っているので、私も帝王学の一環として軍の動かし方や戦の作法を日々学んでいる。 近頃は戦闘車両*1を使った進軍の方法を習得しているところである。 神の見えざる手、そして王子の見える手と、やんごとない手のツートッ…

刺激が過ぎる

先日、スーペルメルカートに視察に行った時の話である。 王国内のことは全て熟知しているはずの私がまだ目にしたことのない豪奢な乗物があった。 ポケットに収まる大きさをした黄色いモンスター*1の彫像があしらわれているものである*2。 なぜ今まで私はこれ…

反乱の兆し

大事に至る前に、小さな異変を見逃さない。 これが統治するものの心構えである。 世俗の表現でいうところのヒヤリハット、か。 最近ばあやの挙動に問いただすべき点が散見される。 それは私よりも美味なるものを食している場面が見られるということだ。 厨房…

職人の朝は早い

やんごとなき身の上でも、その体を動かし手を動かして仕事をすることがある。 かのロシア皇帝ピョートル1世も船大工の仕事をしていたなどという逸話が残っている。 私も彼にならうというわけではないが、国力の増強および己自身の実権のさらなる確立のために…

時をかける王子

私はこの世の全てを統べるので、当然のことながら時間もコントロールすることができる。 特に時間をコントロールする必要がある場面というのは、言わずと知れたことだが、朝である。 私の身辺警護を兼ねて私の寝室にばあやと語り部をはべらせて大殿籠ってい…

フレームの向こうの民

おそらく天の太陽が照りつける日々が続いているからであろう。 地上の太陽である私の輝きもますますその勢いを増している今日この頃である。 テレビを通して私に謁見を求めてくるテレビジョンの民が最近とみに私の顔(かんばせ)に歓喜し、興奮の歓声をあげ…