2012-01-01から1年間の記事一覧

融合

この世のあらゆる分野で人間の技術とアイディアは日々進化を遂げる。 それは食においてもしかり、である。 この日記を読んでいる弱く貧しき者たちにとっては聞いたこともない話であり、まるで自慢のように聞こえてしまうおそれもあるが、この世界にはこのよ…

祝祭の中の責務

私は万物の命が輝きを増す初夏の美しき佳き日にこの世に生を受けたのだが、この冬の一日、太陽が再び明るさを取り戻す境目の日をある意味において私の誕生の日との意義をこめて祝うこともあながち間違いではないと思っている。 その証拠にこの日に民は喜び、…

より速く

先週は驚くべきことに絵巻の公開をスキップしてしまいました。 この罪、万死に値しますが、さっそく恩赦いただきました。

慈愛の朝

天かけるアポロンの使者が帳の隙間より我が宮殿を訪れる*1。 宮殿の中に足を踏み入れた彼らはまだ薄暗き部屋を満たす輝きに驚き、思わずその目を閉ざしてしまうのではないだろうか。 もちろん、私が放つ徳の光におののいて、である。 私がそのようにアポロン…

防人の詩

凍てつく大地にも私が踏みしめた跡には花が咲きはじめるという。 私は、まさに生命そのものなのであろう。 今日またこの冬空の枯れ木たちにひと時の春の夢を見せてやるべく、御幸にいそしんでまいった。 私が御幸の最中、慈愛をふりまきながら歩いていると*1…

学究

木からりんごの実が落ちるのを見て何がわかるというのか。 私は王子でありながら学究の徒でもある。 りんご一つが落ちる事象から拙速に結論に飛びついたりはしない。 王子のみが座ることを許される宴の椅子*1から見渡せば、私の徳と力がすみずみにまでいきわ…

聖なる痕

私の民たちよ、息災か。 そなたたちの庇護者であり統治者であるところの私が不在であった折、皆の者がいかほどにその小さな心臓を不安にはためかせていたかと思うと、私の心も痛まないこともない。 口外は無用とのふれを出していたのだが、私の徳は堰き止め…

復活

その日より七日がたち、女たちはかのベッドが空になっていることに気づいた。 クラッカーを持て、バナナを持て。 復活の時は来た。 陽はまた昇り、民を照すであろう。 復活は金曜日。 ばあやでございます。 ベッドは空になりましたが、まだ病室よりお出にな…

野戦病院

ばあやでございます。 もったいなくも王子様よりウイルスを賜り、さながら熱病のごとき日々にございました。 王子様が休まれる傍らで畏れ多くも王子様の腰巻(未使用)に顔を押しあてながら天と地の境を行き来していると先の大戦の折の我が王国の勇姿とかの…

おふれ

王子様がやんごとなくご入院されてるので国をあげて祈祷するように。 国外、すなわちバチカン市国からの祈祷も歓迎する。

王子自ら

めっきり冬めいている昨今でございますが、読者の皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。 また語り部先生がお休みに入りますので、ばあやの筆による王子絵巻でしばし場をつないでいただければと思っております。それでは今日の絵巻です。

生命の泉

我が宮殿内にはそれを口にしたものに永遠の命を授けると言われる生命の泉*1がある。 かつて七つの海を震え上がらせたカリブやソマリアの海賊達がこの泉をめぐって死闘を繰り広げたという話も人口に膾炙しているところであろうと思うが、私の治世になってから…

そのように

近頃、私の崇高な鼻が断続的にその存在を主張する*1。 どうも、冬の妖精が私の治世を讃えるために辺りを乱舞し始めたあたりからずっとそのような様子である。 ちなみに、冬の妖精が私の長寿と繁栄を祈願するために辺りを乱舞し始めたあたりから、私がこの御…

小さきもの

私が御幸するときは、空を高く舞う鳥の王子であるところの鷲のような視野を私自身が備えているという美徳はさておいて、地を這う地上の星がごとき、つつましやかにけなげに生きているものたちを愛しむ視点を忘れないようにしているつもりである。 先般、また…

慈しみの冬

「その手に握る食べ物を目の前の恵まれない人の口にいれなさい。あなたの心が満たされるでしょう。」という一節を知らぬ者はいないと思う。 なんと含蓄のある言葉であろうか。 私の言葉である。 いよいよ冬の訪れを感じる昨今であるが、私の民は飢えてはおら…

果物

果物の中にも序列というものは存在するらしい。 今までも数回述べてきたと思うが、バナナは果物の中では王子と呼ばれるべき存在であり、それはすなわちその世界における第一位の存在であるという意味である。 私もこの世のあらゆる珍味を口にしてきたが*1、…

王笏

遅きに失したといっても過言ではないだろう。 まさに私のためにあつらえられた王笏*1を手にした。 どうして今までこれが我が宮殿になかったのか。 これはゆゆしき問題であるが、この新しき王笏の到着という晴れがましさに免じて今回は不問にいたすところであ…

棒の引力

棒というのは実に強力に魅惑的ではないか。 その引力たるや、私の鋼の如き理性をもってしてもあらがえるものではない。 いわんや心弱き下々の民となれば、いかほどに棒の魔力に屈しているのかと思うと心配でならない。 棒は振ってよし、舐ってよし*1、そして…

冬の妖精

まるで11月のような鈍色の空である*1。 急に寒くなってきた。 地上の全てを統べるのが我が王国の責務なのであるが、この急な晩秋の訪れに関してはまだ承認をしていないように思うのだが、いったいこれはどうしたことであろうか。 久々に我が宮殿に備え付けら…

美味を求め

私が民の王子ならば、それは果実の王子と呼ぶにふさわしい。 言わずと知れたバナナのことである。 私も好んで食している。 食していた、というべきか。 どのように好ましいものも、ある時ふとその美味について懐疑の念を抱いてしまうことはないだろうか。 バ…

その手に輝くは

王族の心と秋の空。 常に泰然自若として迷える民の北極星として生きることを義務付けられたやんごとなき私のような者も、秋の空を眺めながら、たまには典雅なほどに軽やかな心変わりを見せることもまた雅なことである、という意味のことわざである。 先日ま…

永遠

私はかりそめよりも永遠を好む。 風が吹き波が寄せれば消える浜辺の砂絵にも風情はあるが、王族たるものより確固とした足跡をそこかしこに刻むことこそ重要であり、それこそが即ち歴史である。 それこそが、当世そして未来において、我が王国に生まれ死んで…

民の希望

ばあやが私に向かってよく言うことがある。 あなた様は民の希望である、と。 当然のことであり、周知の事実なのであるが、重要なことなので繰り返し復唱するというのも大切なことである。 ばあやはこう続ける。 私めがあなた様の御幸にしたがっておりますと…

甘露

我が鼻孔より湧き出ずる泉よ*1。 汲めども尽きぬ、不死の泉よ。 それは時に、この秋の空に吹き渡る風のように澄み渡り、 あるいは、今はまだ遠き春の萌える緑を思わせる色味を見せる。 この泉が湧くとき、我が眼前に開かれしは甘露*2への道。 何処より来たり…

白き悪魔の館・再来

熱くたぎる我が血潮のごとく湧き出でる泉。 生命が生まれた原始の海もかくや。 昨日よりまた私の気高き鼻孔から聖なる液体があふれ出るようになった。 夏過ぎて実に気持ちのいい季節になってから度々見られる奇蹟である。 昨晩などは、ほぼ宗教的熱狂といっ…

自由の代償

乗物を替えることにした。 輝く私にさらなる輝きを与えんと降り注ぐ夏の日差しを遮ることもできる優美な乗物*1から、ただ一騎、荒野を駆ける高貴なる白馬の如き乗物*2へと乗り換えることにしたのだ。 私は、やはりやんごとないため、ばあやの手厚い警護を甘…

カップの中の嵐

聞きたくはないか、小鳥のさえずりを。 堅牢なる鉄壁のセキュリティを誇る我が宮殿。 一歩その外に出れば我が王室の祝福を受けためくるめくメガロポリスと生命が躍動する大自然の渾然一体となったコラボレーションが展開するのだが*1、宮殿の中は静寂にして…

手綱

ご存知の通り、我が宮殿にはドラゴン*1が住んでいる。 高貴な人間が下等な動物を手ずから御するのははばかられるという伝統的な考え方があったため、これまではドラゴンの扱いに関してはもっぱらばあやにまかせていた。 私はあくまでばあやが操っているドラ…

愛の配分

この地上の99%以上の土地を実効支配しており*1、かつ、その徳たるや天上天下知らぬ者なしといわれる我が王国であるため、私などはいかにも普段から多くの民とふれあい祝福を与えているのではないかと思われているが、意外にも接する機会のある人間は少ない。…

カワイイ…

お待たせしました!! 1か月の休養期間を終え、語り部先生が読者の皆様のもとに帰ってきます。 来週金曜日から新感覚ノベル『イチゴ紀行』の新連載が開始になります! キャッチフレーズは「カワイイが、生まれた。」です!☆語り部先生の近況☆ クェスがパチリ…