2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

夏の精

夏の精を見たことがあるだろうか。 夜明けに咲くアサガオの陰で目をさまし、昼間は太陽に笑いかけながらヒマワリの周りに遊ぶという。 夏に愛された妖精であるのに輝くような真白い肌をして、短い栗色の巻き毛をもじゃもじゃふわふわと風に吹かせながら、人…

消費への渇望

私は怒りを覚えている。 ばあやが買い物をするという、あの消費の快楽に溺れた、スユペールマルシェ、もしくはスーペルメルカート*1などと呼ばれるいかがわしい界隈に対して、である。 だいたいにおいて、あのバナナなのだ。 言わずと知れた食の王(ただし、…

ドラゴン

我が宮殿にはドラゴン*1が住み着いている。 日に一度ばあやに連れられてどこからともなく出てくるものなので、いい悪いの単純な二元論で言えばいい方のドラゴンである。 唸り声をあげ、腹のあたりから熱い息*2を吐き出す様は勇壮でなかなか好ましい。 もちろ…

遠き国

遠き国や海の果て、ベネッセ国をご存じだろうか。 私もまだ外遊の経験が浅いため直接に訪れたことはなく、かの国の統治者よりの親書*1を楽しむにとどまっているのだが。 封筒にはばあやが読むべきつまらぬ添え状*2と私が読むべき趣味のよい紙であつらえられ…

腰巻

暑い日が続いている。 王族たるものの証である腰巻*1を着用していると蒸れる。 腰巻一枚で過ごしていても中が蒸れるのは回避できない。 身分が高いのも考え物である。 この腰巻は腰の左右についているバリバリとなる優雅な留め具*2によって固定されているの…

その輝かしい面影を讃えて私が「午前8時の太陽の君」と呼ばれ愛されるようになって久しいが*1、地上の太陽である私と対比して空の太陽と呼ばれるほうの太陽の最近の横暴ぶりはあまりいただけない。 先日もブレックファストをすませてから公園に御幸したわけ…

遊び

近頃、王室批判のつもりか、一部の口さがないマスメディアを中心に私のことを「遊び人」と呼ぶ声があるようだ。 おそらく、私が御幸たまわるのに同行してばあやが買い物などしている時に私が乗物から抜け出して遊んだり、あるいは、私が7月の太陽を1時間ほど…

宝の隠し場所

宮殿の隅っこに、私が畏れ多くも一度巻いてやった腰巻*1を保管する宝箱*2がある。 ふたの開閉の具合や、中に敷き詰められているカシャカシャとなる生地*3の様子がおもむき深い。 ふたも強固で好ましい作りなため、ここに宝物をいれておくことにしている。 ば…

珍味

やんごとない身分なので軟飯に小松菜のみじん切りを混ぜ込む等の贅をつくした食事にはやや食傷気味です。 少しばかり下卑た珍味に心惹かれてしまうなどと言えば庶民受けを狙いすぎかしら。 テーブルの下に落ちている、かりかりになった米粒などは野趣に富ん…